ADHDの方は依存症になりやすいと言われています。
この記事ではADHDの方がなぜ依存症になりやすいのかということについて、ADHDとドーパミンの関係性から読み解いていきます。
そして、普段の生活の中でADHDの症状や依存性を和らげることができるTipsをお伝えします。
何かに依存してしまうのは意志が弱いからではない
何も気に病む必要はないんだ
ADHDとは
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、子供から大人まで幅広い年齢層に見られる神経発達障害です。
主な症状は、不注意、多動性、衝動性の3つに分類されます。
これらの症状は日常生活や学業、仕事に大きな影響を与えることがあります。
3つの症状の具体例は以下の通りです。
- 不注意
- 学校や職場で、細部を見逃したり、ケアレスミスを繰り返したりする。
- 長時間集中することが難しく、すぐに気が散ってしまう。
- 学校や職場に必要な物を忘れることが多い。
- 物事を整理することが難しい。
- 多動性
- 座っているべき状況でも、じっとしていられない。
- 静かな環境でも音を立ててしまったり、動き回ったりする。
- 衝動性
- 感情の高ぶりや怒りを抑えるのが難しい。
- リスクや結果を考えずに行動を起こす。
- 他人の会話や活動に割り込むことが多い。
ドーパミン
ドーパミンは、脳内で神経伝達物質として働く化学物質の一つです。
主に以下のような役割を持っています。
- 快感と報酬
- ドーパミンは、快感や幸福感を感じる際に重要な役割を果たします。脳内の報酬系で働き、楽しい経験や報酬を受け取るときに分泌されます。
- 運動制御
- ドーパミンは、体の運動を調整する役割も担っています。運動の開始や調整に関与し、不足するとパーキンソン病のような運動障害が発生します。
- 学習と記憶
- 学習や記憶のプロセスにも関わっており、新しい情報を学んだり記憶したりする際に働きます。
- 注意と集中
- ドーパミンは、注意力や集中力の維持にも寄与します。ADHDのような注意力に関する障害では、ドーパミンのバランスが崩れていることが多いです。
このようにドーパミンは、快感や報酬、運動制御、学習と記憶、注意と集中など、さまざまな脳の機能に関与する重要な神経伝達物質であり、そのバランスが崩れると、精神的・身体的な健康に影響を及ぼすことがあります。
ADHDとドーパミンの関係性
ADHDの人は、脳内のドーパミンレベルが通常よりも低いとされています。
ドーパミンは脳内で神経伝達物質として働いてり、不足すると脳内での情報伝達が難しくなります。
前頭葉は注意力、計画、意思決定、行動の抑制などの機能を担っていますが、ドーパミンの不足はこれらの前頭葉の機能を弱める原因となります。
なぜADHDは依存症になりやすいのか
ADHDの人は脳内のドーパミンレベルが通常よりも低いため、通常の活動では十分な快感や満足感を得ることが難しいとされています。
そのためアルコール、薬物、ギャンブルなどの強い快感や報酬を与える刺激を求める傾向があります。
これらの報酬系が強化されると、脳はより強い報酬を求めるようになります。これが依存症の形成につながり、個人でアルコール、薬物、ギャンブルなどの行動を止めることが難しくなります。
また、強い報酬を持つ活動を継続的に行うと、脳内のドーパミンの分泌がさらに低下します。
これにより通常感じられるはずの快感や満足感がさらに減少し、依存が強まる原因となります。
症状を和らげるTips
バランスの取れた食事
ドーパミンは、体内で特定の栄養素から合成されます。
例えば、チロシンというアミノ酸はドーパミンの原料になり、肉・魚・大豆製品・ナッツに多く含まれています。
また、ビタミンB6はドーパミンの原材料ではありませんが、合成の際に必要となる栄養素です。
ビタミンB6は牛肉、マグロや鰹、バナナやパプリカに多く含まれています。
適度な運動
ランニングやウォーキングなどの有酸素運動はドーパミンの分泌を盛んにします。
5分から10分程度の軽い運動でも分泌されるため、いつも車を使っているところを歩いたり、たまには階段を使ってみるといった私生活に少しの運動を組み込むだけでも十分に効果は得られます。
十分な睡眠
睡眠をとることで私たちは日中の疲労を回復させることができます。
それは神経伝達物質についても同じです。
十分な睡眠をとることでドーパミンを補充することができます。
まとめ
今回はADHDとドーパミンの関係性から、なぜADHDの方は依存症になりやすいのかということについて見ていきました。
皆さんが少しでも良い習慣を身につけられることを願っています。
少しづつ、できることからやっていこうじゃないか