2023年に山形県西川町が日本初のデジタル住民票を発行し、わずか1分で販売数量1000個を上回る注文があり、最終的に注文は10000を超えるなど、話題になりました。
しかし、「デジタル住民票」は新しい概念なのでとっつきにくさがあります。
なんとなくは理解しているけど、説明しろって言われるとなんだかな
今回の記事はそのような方に向けたものとなっております。
こちらの記事を読むことでデジタル住民票の基本的な知識を理解し、購入・発行方法が分かるようになります。
デジタル住民票の購入だけでなく、発行を検討している方にも読んでいただきたい記事となっています。
デジタル住民票とは?
一言で表すと「NFTで発行される実際の住民以外の人たちもバーチャルな住民になれる証明書」です。
しかしこの説明では脳筋さんにはわからないので、もう少し詳しくみていきましょう。
おのれ、無礼者め
普通の住民票と何が違う?
「デジタル住民票」という名前ですが、通常の住民票がデジタル上で管理されるようになったというわけではありません。
通常の住民票は実際にその市区町村に住んでいないと取得できないのに対し、デジタル住民票を取得する際にその市区町村に住んでいる必要はありません。
もちろん、引越しの際にデジタル住民票を移すなどといった、面倒な作業もありません。
住民票と聞くと公的な書類で少し難しいイメージを持ちますが、デジタル住民票はその市区町村のファンであることの証明書という認識で問題ありません。
NFTって何だ?
デジタル住民票をNFTで発行されていますが、ここではそのNFTがどんなものなのか見ていきたいと思います。
NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)は、ブロックチェーンを基盤にして作成されたデジタルデータです。
ブロックチェーンの3つの特徴
ブロックチェーンは仮想通貨(暗号資産)に用いられている技術です。
まずブロックチェーンには以下のような3つの大きな特徴があります。
- 改ざんが難しい
- データの透明性
- 中央集権ではなく分散型のシステム
まず、ブロックチェーンは高度な暗号技術によって保護されているため、後からの改ざんが非常に困難となっています。
また、ブロックチェーンの取引データにはネットワーク参加者全員がアクセス可能となるため、データの透明性が保証されます。
最後は少し難しいですが、ブロックチェーンは中央集権ではなく分散型のシステムとして機能しています。
かつてTwitter(現X)はアメリカ政府に都合の悪いツイートがタイムラインに流れないように操作していたという事件がありました。
これはTwitterが私たちのツイートのデータを中央集権的に管理しているために発生した事件です。
また、Twitterが倒産してしまえば、今までのツイートなども消えてしまいます。
分散型のシステムであれば、特定の企業や政府機関がデータを管理しているわけではないため、都合の良いように操作もできない上、システムがダウンしてしまうこともありません。
ブロックチェーンの特徴+非代替性
NFTは先ほどのブロックチェーンの特徴に非代替性という特徴を加えます。
非代替性とは、あるものが唯一無二で他に置き換えることができないという意味です。
例えば、脳筋さんの100円と私たちが持つ100円は交換しても同じ価値になりますが、脳筋さんが大事にしている有名ボディビル選手のサイン入りダンベルは世界に1つの代替不可能な代物です。
ネットの世界でこのような非代替性を保証するのがNFTです。
NFTはデータの一意性(他に存在しない1品ものであること)を保証することができるようになりました。
非代替性について大体わかりました
NFTで発行される実際の住民以外の人たちもバーチャルな住民になれる証明書
住民票とは根本的に異なるものであり、その市区町村のファンであることの証明書のニュアンスが近い
NFTはデジタルの世界で替えが利かないものである証明ができる
デジタル住民票のメリット
ここでは購入者と発行者の2つの立場からデジタル住民票のメリットについて見ていきます。
デジタル住民票購入のメリット2つ
まずはデジタル住民票を購入した場合のメリット2つをご紹介します。
デジタル住民向けの特典がある
一番わかりやすいメリットとして、デジタル住民向けの特典が挙げられます。
例えば、日本の自治体が初めて発行したデジタル住民票である山口県西川町の西川町デジタル住民票NFTを保有している場合、以下の特典が付与されます。
- 【温泉無料】水沢温泉館・大井沢温泉館において、大人350円の入浴無料(大人2名様まで)
- 【月山自然水特典】道の駅売店で1,000円以上お買い上げで、月山自然水を1本プレゼント
他の地区のデジタル住民票では市営のプールが無料になったりと、さまざまな特典を得ることができます。
市営のジムが無料になったら超うれぴぃ
専用のコミュニティに参加できる
専用のコミュニティに参加できるというのもデジタル住民票を購入するメリットの一つです。
西川町のオンラインコミュニティでは、地域の最新情報やイベント、特典情報などを盛り込んだニュースレター、町長からのメッセージの配信などがあるようです。
また、過去にメタバース空間で市長とデジタル住民の交流会を開催しています。
メタバース空間でみんなと合トレできる日を待っている
デジタル住民票発行のメリット2つ
ここではデジタル住民票を発行するメリットを3つご紹介したいと思います。
関係人口の増加
デジタル住民票発行の最大のメリットは関係人口の増加です。
関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。
現在、地方では過疎化が進み、地域づくりの担い手不足という課題に直面しています。
そんな中、副業で地域を訪れたり、祭りやイベントの運営に参画するなど、さまざまな形で地域と関わる関係人口を増やそうという動きが出てきています。
デジタル住民という概念はまさに、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない関係人口であるといえます。
このようにデジタル住民票は関係人口を増やす方法の一つとして注目されています。
地域活性化のための資金調達
新潟県の旧山古志村はNishikigoi NFTと呼ばれる錦鯉のデジタルアート兼デジタル住民票を0.03ETH(2024/4/1現在15817円)で売り出し、販売から2ヶ月で600万円を調達しています。
このように資金調達方法の一つとしてデジタル住民票を活用することができます。
また、NFTにはプログラマビリティと呼ばれる特徴があります。
これはNFTに特定のルールや機能を組み込むことができるといったもので、有名なものではNFTの売却時にオリジナルのクリエイターにロイヤリティを支払うといったルールがあります。
この特徴を用いることでNFT発行元の自治体はNFTが転売されるごとに、転売価格の何%かをロイヤリティとして受け取るといったことも可能になります。
NFTの価値が上がれば、長期的な財源となる可能性があります。
デジタル住民票の事例
ここでは過去に発行されたデジタル住民票の事例を見ていきます。
偉大な挑戦をした先人たちに大いなる賞賛を
新潟県旧山古志村 Nishikigoi NFT
Nishikigoi NFTは世界初のデジタル住民票つきNFTとして話題を呼びました。
新潟県旧山古志村は現在住民が800人程度の限界集落です。
住民が減り続ける地域をデジタルの力で持続可能なものに、という思いからデジタル住民票付きNFTの発行を行いました。
一つ0.03ETH(2024/4/1現在15817円)で発行され、1年間の初期売り上げはおよそ1500万円、デジタル村民は現在では1000人以上となっています。
2022年2月には「山古志デジタル村民総選挙」なるものが開催され、山古志活性化に寄与するアイデアを公募し、山古志住民とデジタル村民による投票により実施プロジェクトの選定が行われました。
山形県西川町 山形県西川町デジタル住民票NFT
山形県西川町デジタル住民票NFTは日本初の自治体発行NFTとして話題になりました。
抽選販売という形を取っていたのですが、開始1分で販売数量の1000個を上回る購入申し込みがあり、最終的に購入申し込み数は13400にもなりました。
デジタル住民票は一つ1000円となっており、保有者は温泉に無料で入れるといった特典を受け取ることができます。
山口県美祢市 山口県美祢市デジタル住民票NFT
山口県美祢市、デジタル住民票NFTをHEXA(ヘキサ)で販売!WEB3.0型の関係住民創出に挑戦
山形県美祢市デジタル住民票NFTは日本で2例目の自治体発行NFTです。
こちらも予約開始からわずか2分で販売数量を2000個を上回る購入申し込みがありました。
鍾乳洞や、釣り堀、博物館や市営のプールなど、デジタル住民の特典が多いのが非常に魅力的です。
千葉県匝瑳市 千葉県匝瑳市デジタル住民票NFT
千葉県匝瑳(そうさ)市デジタル住民票NFTも開始わずか約1分で販売数量1,000個を超える購入申し込みを集めました。
デジタル住民票保有者には市長の参加するオンラインコミュティへの参加や、レンタルサイクル無料・匝瑳市内の加盟店で使えるユートリーカード贈呈といった特典があります。
また、2024年5月31日 23:59時点での保有者にはご当地ヒーロー「ソーサマン」の「ソーサレッド記念NFT」などの特典もあるそうです。
やはり俺の上腕二頭筋もNFTにするべきだろうか…
デジタル住民票の購入方法
Nishikigoi NFTを除き、基本的なNFTは日本最大級のNFTマーケットプレイスであるHEXAで行われます。
公式サイトにNFT購入方法についての記載があったので、そちらを参照していただければと思います。
まとめ
今回はデジタル住民票について説明させていただきました。
脳筋ビレッジの住民票発行もそう遠くはないだろう
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